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最近アンチスピリチュアルのことばかりだったので、違うことを。
でもこれもmixiの転載。
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先日、渋谷のパルコにウルトラマンの展覧会のようなものを見てきた。(12/31までだったので、もう終わった。)
□関連記事:
http://www.walkerplus.com/shibuya/event/20061208ultraman.html
http://www.shibukei.com/headline/3889/index.html

オブジェクトとかサブジェクトとか題された展示で、昔の着ぐるみの残骸や、倉庫の奥から出てきたような壊れかけのセット、あるいは、レプリカのビートル(あの銀色の飛行機)などをケースの中に展示して、さらに、なぜかそれをアートっぽく撮ったような写真が壁にかけてあるというものだったのだけど、これが、何だかとても違和感がある。

まず、入り口に、ウルトラマンを作った20人ということで、円谷英二はじめ脚本家や監督、俳優などの写真が飾ってあったのだけど、なぜか(あえて、なぜかと問いましょう)、ウルトラマンや怪獣たちのデザインを担った成田亨の写真がない。そのデザインを受けて着ぐるみの造形を行った高山良策の写真はあるのに。
デザイナー成田亨は、ウルトラマンを作った人ではなかったのか。

そして各展示物にも、これをつくったのは誰で素材は何と表記してあるものの、デザインが誰ということにはまったく触れていない。まあ、それはそうだ。そうなるとほぼすべての展示に成田亨の名が刻まれる必要が出るわけで。成田亨の存在を抹消した展示会において、それは出すわけにはいかない。

とはいえ、今回の展示は、たとえば怪獣やウルトラマンの全身を出すのではなく、着ぐるみの頭の一部だとか、角だけだとか、きちんと保存されることなく、まさに残骸となった怪獣たちの欠片を晒しものにするだけの珍妙な会だったので、たとえば"「デザイン」ではなく「造形」の仕事を見せるだけの趣旨であり、デザイナーの存在も、意図的に消しているのではなくその必要がないだけだ"…なんて理屈も通らない訳ではない。
まあ、ガレージキットの展示会のようなものなら、だけど。

だけど、大人として、そういうのってどうなんだろう。
成田亨と円谷プロとの間で、デザインとマネーを巡っていろいろあったことは、ネットをちょっと眺めれば知りうることなので敢えてここで言及こそしないけれど、今回のようにあからさまに、成田亨の存在をないものにする一方で、数年前に成田亨が亡くなって以来、ウルトラマンはアートだなんてことを円谷自ら言い出したりする現実。

もちろん高山良策の造形があればこそのウルトラ怪獣であり、それを中心にした展覧会というのはいい。高山良策の存在を中心にした展示というものだったとしても、それに異論を差し挟むつもりはない。むしろ大歓迎。
だけど、そこにあるべき成田亨の影をはじめからないものにする円谷的態度は、いったいどういうことなのか。

べつに社内的に成田亨の存在を口に出しにくかったりインタビューなどでその話題は避ける程度の話であれば好きにすればいいのだけど、こうして、堂々とアートぶったイベントを開きながら、さらに堂々と、その存在を抹消するのは、現代的にいえば、逆にすごい。まさに逆に、すごすぎる。

作品としての著作権を主張し、怪獣デザインについての権利をも自らのものだと主張するのはまた別の問題として、しかしそれをデザインした者の名前すら出さないって、「なかったもの」にしてしまうって、それが大人のすることか。


どうも円谷さんは、アートアートと言う一方で、怪獣のアウラ(今流行りのオーラではなく http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%A6%A5%E9)というべきものを必要としていないのではないだろうか。

そもそもこの展示でかなりの比重を置かれていたのが、展示物の写真であった。
着ぐるみの残骸をガラスケースの中に展示し、さらに、それを「アート」っぽく撮影した写真を、何枚もその周りの壁にかける手法。

それは果たして何を意味していたのか。
現代に残った"貴重な"、"唯一無二の"怪獣の骸。
その唯一無二性を薄め、複製可能な写真として、「作品」とする試み。
それは、"作品"とまったく同一のものが4~5000円の写真集として購入可能になると同時に、展示物の唯一無二性をどれほど損なうものだったのか。
その写真が、いかにもアートっぽく美しいものであるほど、「べつにこの着ぐるみの残骸っていらないんじゃないの?」と思えてしまう。

敢えて言おう、そこにあったのは、価値を失った残骸と、そのスナップ写真でしかなかったと。


この不思議な、怪獣のアウラを薄めようとする円谷的活動は、この展示に限った話でもない。

(続く)
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