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11/3、浅草・中村座で法界坊。
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/2008/11/post_26.html

コメディ(それもかなり純度の高い)と見せかけて、そのテンションのまま気付いたらダークな方に突っ走っているという、現代でも伊藤潤二か楳図かずおくらいしか成し得ないような、上質な両極端を持った物語。物語のパラダイムシフトだ(突然思いついたけど、このテキトーな表現はアリかもしれない。いや、ないか)。
しかしそれでいて歌舞伎。大いに歌舞伎。コクーン歌舞伎でも有名な串田さんの演出だったけど、しかしなんで毎度毎度こんなにすごいのか。

ある程度年を取ってくると、何か新しいものを見たり読んだりしても「○○に似ている」といったことを無意識に思い浮かべ、安心しようとしてしまうことが多い。それは、たとえば理屈として、この物語構造はこの作家の典型的な云々でなんたらかんたらと考えるのとはまったく別で、それこそ、ちょっと特殊能力を持った何かが出てくる小説を読んで「これってコードギアスっぽいよね」なんて言ってしまうようなアサハカさの象徴とでもいうべき悪癖(ぱくりぱくり言うバカともちょっと違う)。
前者は(人により差はあれ)より広い視野を持っていたり、それを求める事から生まれるものであるのに対し、後者は、視野の狭い人間・教養のない人間が、そのセカイをより狭い方狭い方におさめることで、日々を安穏とすごすためだけの一種の自衛手段に過ぎないことが多々ある(もちろん前者のパターンでも、ひどく狭量なものであることが多いのだけど)。

かくいうぼく自身、はじめての小説やはじめての映画を見て、本当に無意識に、無恥な脳髄が、この浅く薄い生の中で見てきた何かに重ねあわせようとしていることに気付き幾度も愕然とし、しかしいつまでもそれを払拭できない事に苦悩することが少なからずある。

しかし、こと歌舞伎に関していえば、特にこの中村勘三郎という希有な存在に関していえば、そんな安易で下世話なことを思い浮かべる余裕すらない。
古いとか新しいとか、古いのに新しいとか、そういうことではない。とにかく息も出来ないほどに、よくわからないがすごいものをぶつけてきて、その風圧に身動きすらできなくなる。
ストーリーがどうとか、セリフがどうとか、演出がどうとか、そんなことを語るのはもはやナンセンス。万難を排してでも、死ぬまでに一度は見るべきだ、としか言えない。

追記===
ちょっと嘘書きました。
思い浮かべる余裕がないとか書いたけど、たしかにそのときは思い浮かべる余地なんてなかったものの、じわじわと思い出す中で、勘三郎の法界坊という存在に、映画『ダークナイト』のジョーカーを重ねてしまった自分も実はいるんですよね。

安易だなあ、とは思いつつ、しかしあの不思議な存在感を説明するのに、ダークナイトのジョーカーを持ち出すのは、あながちダメなことでもないという気はしていますが。

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ちなみに今回は、なぜか3列目という、とんでもない良席(席というか平場だけど)がとれてしまっていたので、もうね、目の前過ぎる。
他の舞台でも、たとえば花道の真横だったりすれば、役者がすぐ目の前、手を伸ばせば触れられる位置を歩く事も日常茶飯事だけど、歌舞伎座や演舞場とはまた全然違う距離感の中村座だから、目の前ってレベルじゃない。
個人的には、最後に2回勘三郎様と目が合ったと思っているのだけど、べつに錯覚でもいいや、きっと目が合ったんだ。そしてその幸福感だけで、つらく孤独なこの湿った人生でも、あと十年は生きていける。

ちなみに、また同じく法界坊を今度は桜席で見に行くのだけど、正面からみていると、この桜席もかなり面白そうで、もう、どうしようもなくたのしみで仕方がない。チケット1枚余るかもしんないけど、それはかなり勿体ない気がしてきた。かといって話のわからない人を誘うのも無駄すぎる

・今月のミーハー1
ピーター(池畑さん)も客席にいた(勘三郎に声かけられてた)。
http://ameblo.jp/oziba/entry-10159929582.html
濃いおばさん的な感じ。

・今月のミーハー2
あと、帰りにぶらぶら歩いていたら、演芸ホールの前を過ぎて少し行ったところにある肉まん屋に、全身ピンクの服装でモジャモジャ頭の男性が。というか林家ペーが。

今回の法界坊を見た人にはわかるでしょうけど、ラストシーンの、あの目もくらむ絢爛豪華なピンクの乱舞、舞台一面、いや一面どころかもっとアレな部分までピンクだった舞台を見たばかりだったせいで、一瞬何かの余韻か脳が錯覚を起こしているのかとうっかり思いかけたわけですが、というか、再びあのきらびやかさすら思い起こされて、今いるその「いま・ここ」が、いったいどの瞬間のどの場所なのか「ズレ」を起こしかけたんですが、まあ、間違いなくただの林家ペーでした。肉まん買ってました。一人で。


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まあ、しかし、いい男を見に歌舞伎に行っている身で言うのもなんですが、歌舞伎ってのは本当にもう、いい男ってのが限りなくセイギで、たとえば今回の話でいえば、勘太郎扮するところの色男が、二股かけるわ、古い方の女は邪険に扱うわ、それどころか斬り殺されても気にも留めないくらいの勢いだわで、まあ、しかし単純に見えて現実も同程度に単純というか結構そっくりなもので、なんてリアルなんだと思ったりもするんですけど、それを、まったくもって眉目秀麗ではないどころかむしろキモい腐った低身長のぼくとしては、ノンキにこんなもの見ていて、本当に身の程知らずもいところだなあ、と思わなくもありません。
いや、べつに思わないんですけど。あとで冷静に考えてみるとそうなる(そして七之助の役に感情移入してしまうよ)。


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「パラダイムシフト」と「パラダイスロスト」が似ている。(←みんな知ってる。ちゅーか自分でもきっと何度か言ってる)



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