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12日は新橋演舞場(初春花形歌舞伎)夜の部に行ってきた。

・今年から、いい席で見る時にはユニクロの服で行くのをやめることにしました。
3階とかだったら、まあ、汚い服でも行きますけど。

・ついでに、日記もちゃんと書こうかな、と。
歌舞伎の感想とか書いている人っぽく書いてみる。素人ですけど、素人なりに。どうせ誰も興味ないでしょうけど、
とか言いながら、どうせまたてきとーになるんだけど。
というところで。

=====

・七つ面
もう原型も残っていない演目を何十年ぶりかで復活したという踊り。
特にストーリーなんてなし。海老蔵が、面をとっかえひっかえ、時に勇ましく時にコミカルに踊るという(まあ、歌舞伎なんてだいたいそんなもの)。

最初に翁のお面ではじまり、それを取ると、じゃーん!海老様でしたー!みたいな、この、面一枚で演出されるカタルシスは、他の娯楽ではなかなか味わえない。
あるいは「暫」のヒーロー側と悪役側の2枚の面を交互につけかえながら、しまいにはその2枚の板挟みになるシーンだったり、その変化とコミカルさが、ぼくのような素人にもわかりやすくて素敵。

しかもひとりで一通りの面を使って踊り終わった後がまた、なんとなくおめでたい、ふんわかした雰囲気で楽しい。何も考えないで見ていられる幸福感。まあ、そんな感じ。


・恋飛脚大和往来
 封印切
まず何より、獅童がいいじゃないか!
最初にかすれた甲高い声で出てきたので、風邪でもひいたのか?と思ったもののそうではなく役作りで、聞いているうちにそれも馴染んできた。

こう、いかにも"あたしって歌舞伎通じゃな~い"みたいな人にとっては「獅童なんでだめよ~」というのは季節の挨拶のようなものかもしれないのだけど、べつにだめじゃない。

というか、獅童(忠兵衛)もだけど市川猿弥さんの八右衛門がすごくいい。
忠兵衛がいないところで(実は2階で聞いている)さんざん彼の陰口を、もう、生まれのことやら借金のことやらあることないこと言いふらして、そこで忠兵衛がぶち切れて出てきて大変なことになるわけだけど、その、悪口雑言のプロセスがとてもいい。
その、ぶっくりした佇まいから声色、口調、横着な動き…こう、何もかもが、その後忠兵衛が堪忍袋の尾を切った挙句別のものも切って大変ところに追い詰められることを、我々に深く納得させる前段階として生きている。
忠兵衛が出てきてからも、陰口については謝りながらも最終的に金に関して、本当にいやらしい圧迫感で追い込む過程が、見ていてどっぷりと感情移入できるようになっていてひたすら唸るしかない。上方のいやらしい小金持ちっぽさが、ひたひたと、背筋に伝わってくる。

そうなると、もう、獅童の忠兵衛が役者として良いのか悪いのかなんてわからないぼくにでも(実際、とても良かったと思いますけど)、彼に感情移入し、打ち震えながら、手をつけてはならない金に手をつけ、一緒に転げ落ち絶望していくしかない。
義理と人情の板挟み、なんていまどき簡単に使っちゃう言葉だけど、その、とても狭い、刃の上を歩くようなギリギリのところから、これやっちゃだめだとわかりながらも、つい踏み外してしまうその感覚と、さらにそこからの絶望感。八右衛門の存在込みで打ちのめされるこの一幕の転落は、しかし一観客としては、この上ない快感。

前に同じ演目を見たときは、なんか上方のベテランの人がやってたんですけど、その時は、まあ、芸術ですね~という感じだったものの、今回は、この獅童の痛々しさが鋭いトゲのように突き刺さり、そして静かに通り抜けていった。そんな感じ。


・弁天娘女男白浪
いわゆる、弁天小僧というか白浪五人男。おなじみの、しらざぁいってきかせや(以下略)。

文句なしに海老蔵がいい男。
そりゃ、どんな格好しても海老蔵は海老蔵(いい意味で)だから、最初に女装(設定上も女装。念のため)で出てきたときは、場内くすくす笑いとひそひそ話が絶えなかったかもしれませんが。

しかしなんともいい男。
あの、正体を見破られ、女装を脱いで男になる瞬間の快哉を上げたくなるような気持ちよさ。弁天小僧自身もそこで感じるカタルシスが、見ている側も強烈に共感できてしまう。これこそ歌舞伎の醍醐味とでもいうものか。
脇にいる獅童の南郷込みで、とても気持ち良い。悪くてダルいんだけど、快感。デビルメイクライくらいのスッキリ感。

そしておなじみの、名乗りのシーン。
わかっちゃいたけど、あの目といい表情といい、首の動きから指先の機微にいたるまで、存在が完璧過ぎる。この時代に生きて、この代の、この年齢の海老蔵を見る事ができたことの幸せにひたすら酔いしれるしかない。
斜め前に座っていたプチ宗教っぽい無精ひげのおじさんが、NHKのど自慢で陶酔しながら演歌を歌うとっちゃんぼうやを髣髴とさせる奇妙な動きでコブシを作りノッていたんだけど、まあ、それはそれだけを見ていると気持ちの悪いものだけれど、でも、コブシで動いてしまう気持ちはよくわかる。本当によくわかる。弁天小僧でスウィングできてしまう感覚。歌舞伎スウィング(というものを提唱してみる。まあ、七五調のリズムってだけかな)。

ちなみに、実は今回はじめて、いわゆる「とちり」(前からいろはで数えて7~9列目の席)のしかも真ん中あたりのいい位置に座ったのだけど、なるほど本当にいい席で、自意識過剰は承知ですけど、なんというかずっと海老蔵と目が合っているとしか思えない。いや、もちろん周りの人もみんなそう感じていたのだろけど。
目線がふらつかないように固定するのがあのあたりで、それで一層そう感じてしまう気もするけど、まあ素人なので詳しいことはわかりません。
しかし、そういう目と目で通じ合うかすかに色っぽい雰囲気になってしまえば、すっかり陶酔してしまうもので、あとはもう、海老様の魅力に酔いしれるばかり。

そういう席だったので、勢ぞろいも見やすい見やすい(5人が続々登場して並んでいろいろ言うシーン。戦隊モノの勢ぞろいシーンみたいな。まあ、あんまり声高に戦隊モノが白浪で云々とか言っていると、かなり今更感が漂って恥ずかしいんですけど)。
過去に同じ演目を見た際には、いわゆるドブ(花道の下手側)だったり1階2等席(かなり後方)だったので、まあ、それでも、後姿や出る瞬間が堪能できて面白いのだけど、しかしきちんと見得が正面から見える位置で見ていると、これはなんという贅沢なんだろうと。1万5000円?そんなの安い安い!と思わざるを得ない。

ついでに言うと、ぼく自身はもともと(現在も)特撮好きで戦隊大好きということを踏まえて、それでも敢えて言うんだけど、いまだに戦隊モノの名乗りは、白浪五人男の一連の流れを超えていないと思う。敢えて言えば、マジレンジャー最終回の全員勢ぞろいは超えたかもしれないけど。

まあ、そんな感じ。
もちろんその後の屋根の上での海老蔵の立ち回りだとか、腹切って屋根がぐるっと回って踏ん張って…というのもすごく見ていて気持ちよかったけど、もう、これ以上言葉にするのは蛇足でしかない。

あ、でも蛇足だけどもう一つ、屋根がぐるっとなって、「ああ…海老様ともこれでお別れか~」と思っていたら、最後の最後にまた海老様登場で、よく配役を見ていなかったからアレだったのだけど、おかげで最後までおいしい思いができたのでした。
そんな感じ。

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そんなこんなで海老様があまりによかったので、つい昼の部もチケット買ってしまったわ。



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