上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
→[第一回]
→[第二回]
→[第三回]
→[第四回]
○[2001-2002:コスモス:怪獣保護:傲慢さ:テロリズム:911:カオスヘッダー:ウルトラマンジャスティス:宇宙正義:怪獣であることの困難]
90年代3部作と呼ばれるシリーズにおいて、一度共闘してしまった人類と怪獣。
ウルトラマンという物語は、怪獣が現れないことには始まらないが、しかし共に戦った怪獣と人間の関係を無視し、ふたたび一方的に人類・ウルトラマンが怪獣を破壊し殺戮する物語をはじめるのではさすがにお話にならない。ガイアの数年後に放送が開始された『ウルトラマンコスモス』では、また新たな両者の関係が描かれることになる。
ご記憶の方も多いであろう、怪獣を保護する人類・怪獣を保護するウルトラマンの誕生である。

賛否両論はあったものの、一応は"暴力的な"番組を嫌う母親たちに受け入れられたことになっているその物語では、怪獣は人間により保護(捕獲)され、南の島の見えない檻の中に隔離され、怠惰な生を貪るだけの巨大な生き物になってしまった。

しかしこれほどまでに、人類の驕りが高まったことがあっただろうか。
物語上では怪獣を共存できるものとして「保護」することになっていたようだが、果たしてそれが共存なのか。
前述の『ウルトラマンガイア』では、同じ地球の上の存在として、怪獣との共存への意思が示されていた。しかし、コスモスのそれは、既に共存ではない。ただ単に飼いならし、あるいは飼い殺しているだけの人類の驕りではなかったか(さらに後の映画版では、もはや地球上にも置かず宇宙の果てに追いやってしまう体たらく)。
かつては、人類の目の前にあった破局の寓喩であったはずの怪獣たちを、動物園の見世物のように「保護」する人類。そしてその片棒を担ぐだけの、最早調停者でも何でもない滑稽な超越者

その滑稽さは、単にコスモスという作品に問題があるわけではない。
時は21世紀を迎え、現実に、人類の驕りそのものが、異様なほどに高まっていたのかもしれない。環境問題もほどほどに忘れられ、戦争はテレビの中の一コンテンツとなり、より卑近な、都市化や人間のコミュニケーションの問題も、携帯電話の普及やインターネットの一般化により、まだそこに新たな破局の可能性を見ることもなく、全能感に近い感覚すら持ちえていたかもしれない人類。
その驕りに満ちた時代の空気が、「怪獣」を「保護」するという傲慢な態度を生み出していたとは言えないだろうか。(それは、ひょっとしたら京都議定書における排出量取引のような、先進国の途上国に対する姿だったのかもしれない。)

あるいは、既に怪獣に寓意的に破局のイメージを表現すること自体が困難、というより陳腐化してしまった現実もあったかもしれない。
単に怪獣が一般化し、誰もそこに破局のイメージを見ることが出来なくなったというだけではない。現実が、怪獣を超越してしまったことも、その要因として挙げられるだろう
それを象徴するかのように、コスモス放送開始から2ヵ月後、9.11と称される同時多発テロが発生する。そこにあった破局は、最早怪獣ではない、怪獣を越えた現実であった。

同時多発テロ以降一部の人間がテロを悪として認識し、躊躇うことなく武力報復や戦争に突入していったように、ウルトラマンコスモスに登場する人間、そしてウルトラマンも、カオスヘッダーと呼ばれる「悪」を据え、その「悪」に対してはより暴力的に戦う事を厭わない道を選んだ。

一見、怪獣と人類との共存をテーマにしたかのようなウルトラマンコスモス。しかし、それは傲慢と欺瞞に歪んだ人間の驕りに過ぎず、そして本来調停者であったウルトラマンが、そこでは「怪獣」を迫害し、「悪」と呼ばれるものを攻撃する急先鋒となっていた。
また、偶然にではあるが、あたかもそのいびつさを代弁するかのように、主人公役の俳優が暴力事件で逮捕され、その後ちょっと不可解な釈放(不起訴)をされたことを覚えている人もいるかもしれない。その結果、終盤の物語は慌しさの中無理矢理に放送されたが、たとえそのような事件がなかったとしても、そこにあった物語は「カオス」そのものであった気がしてならない。

怪獣は共存という建前のもとに追放し、「悪」は迷わず打ち砕く。かつて、ガイアが見せてくれた人類と怪獣の可能性は、そこには見る影もなかった。
繰り返すが、これは単に物語上の構成に責任がある話ではない。少なからず時代の空気が映し出され、それに流されるままに、コスモスは突き進んだだけなのではないか。

一般的には、このコスモスの物語は「屈指の人気」だとか「作品の主な視聴者である子ども達とその親に概ね歓迎され」などと言われることもあるが、もし本当にそうだとしたら、この国の、いや、世界の将来を憂えなければならない日がくるかもしれない。

[つづく]
→[第六回]
関連記事
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://kaizyugakusei.blog35.fc2.com/tb.php/86-5d1736db
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。